第2-1話 電気の料金を決める仕組みは、実はここ数年で大きく変わった!
私たちが普段何気なく、少―し料金を気にしながら使っている電気ですが、この電気料金を決める仕組みは、実はここ数年でとても大きな変化が起こってきています。
私たちが1つ気づくことは、
数年前までは電気を売るのなんて大手の電力会社(東京電力とか中部電力とか関西電力とか…)だけでしたが、
最近はいろんな会社が、電気の契約プランを持って、宣伝したり売ったりしてますよね。
ガス会社だって、電気をガスとセットで売ったりするようになりました。東京ガスというガス会社は、女優の深田恭子さんをCMに起用して、電気を販売していることをアピールしています。
「深キョン効果? 電気契約の申し込み倍増 東京ガス」
https://www.asahi.com/articles/ASLBD63B1LBDULFA02F.html
それ以外にも、数多くの会社が、電気を売る時代になりました。
ではなぜ、大手の電力会社以外が電気を売ることができるようになったのか?その理由は、「電力の売買に関する制度の改革」が、今まさに、国を上げて進んでいるからなんです!
そしてその結果、「電気の料金を決める仕組み」も、大きく変わりました!
この講座2では、
「電力の売買に関する制度の改革」が一体どのように進んでいるのか、また、
「電気の料金を決める仕組み」がどのように変わったのか、そして、
私たちの生活にどのような影響を与えるのか、
といったことについて、紹介・説明していきたいと思います!
- まずは超ざーっくり、昔と今の電力売買の違いを説明
- なんで昔は、大手電力会社しか電気を扱うことができなかった?
- 2016年に何が起こった??…電力の小売全面自由化
- 電力の小売全面自由化は、私たちの生活にどんな変化をもたらした?
- 電気料金の話は、これだけでは終わらない!
講座2-1話 電気の料金を決める仕組みは、実はここ数年で大きく変わった!
(1) まずは超ざーっくり、少し前と今の電力売買の違いを説明
まずは超ざーっくり、昔と今の電力売買の違いを説明、ということで!
なるべく少し前と今の違いを、キーワードと共に簡潔にしたいと思います。
電力の売買に関する制度の改革
大手電力会社しか、電気を「作る」「送る」「販売する」ことができなかった
大手電力会社以外が、電気を「作る」「販売する」ができるようになった
電気の料金を決める仕組み の変化
大手電力会社だけが、電気を「作る」「送る」「販売する」を行っていたので、
大手電力会社が値段を決めて、国(政府)がその値段で問題ないか確認してから、
電気を皆さんに販売していた
大手電力会社以外のたくさんの会社が、電気を「作る」「販売する」ができるようになったので、電気にも魚市場や野菜市場のような「卸売市場」が必要になった。(ただし、「送る」は、まだ大手電力会社しかできない。)
電気の卸売市場は作られ、その結果、電気の価格競争が起こり、その価格競争によって電気の料金が決まるようになった。
(2) なんで昔は、大手電力会社しか電気を扱うことができなかった?
(1)の部分だけ読むと、「少し前は大手電力会社だけが儲かってた感じで、ずるいな~」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実際のところ、大手電力会社への就職活動学生の人気が高いところを見ると、安定感は強そうですね。話は逸れましたが、しかしながら、大手しかできない理由がちゃんとあったのです。その主な理由を少し紹介します。
主な理由1
まず電気は、使えなくなってしまうと、家庭も、会社も、政府も、病院も…皆さんの活動が止まってしまいます(これについては、講座1-1も読んでみて下さい)。
そのため、電気の運用は、「作って」「送って」「販売する」ところまで、電気の知識があるきちんとした会社が行って、特に停電などが起こらないように気を付けて、皆さんが困らないようにしなければなりません。
主な理由2
また、電気を「作って」「送って」「販売する」ためには、発電所などの「作る」ための設備を所持していないといけないのはもちろんのこと、みなさんが日本全国で見る 電柱 ですとか、電線 ですとか、また 変電所 などという「送る」ための設備も所持していないといけません。
「作る」「送る」ための設備を、長い年月とお金をかけて作り上げてきたのは大手の電力会社ですから、それらは大手電力会社の持ち物で、誰かが勝手に使ってよいものではありません。そういう「持ち物を勝手に使っていけない問題」から、他の会社が電力事業に参入することが難しかった背景があります。
(3) 2016年に何が起こった??…電力の小売全面自由化
では、<少し前>と<今>の違いはなんでしょうか。特に、2016年に何が起こったかがカギとなります。この2016年に起こったこと、それは、「電力の小売全面自由化」を日本政府が推し進め、認めたことです。これが認められたことにより、
「すべての小売電気事業者が、全ての地域で、全ての需要家に対し、電気の供給を行うことが可能」となりました。
もう少し簡単に言い換えると、「大手電力会社に限らずにどんな事業者もが、日本のどの地域でも、そして誰に対しても、電気を売ることができるようになった。」ということです。
このような電力の小売全面自由化の動きは、2016年に急に起こったわけではありません。2016年よりさらに前から、徐々に動きを進めていて、2016年にようやく準備が整った、という感じです。
(4) 電力の小売全面自由化は、私たちの生活にどんな変化をもたらした?
さて、電力の小売全面自由化によって、私たちの生活にどのような変化が起こったでしょう??
それは、テレビとかインターネットで見られる、電気の契約・電気代のCMなどから、知ることができます。
例えば、この記事のトップの概要でも取り上げたように、ガス会社がガスと電気をセットで販売し、安くするよ!というようなことが、2016年より後から起こりました。また、インターネット契約の会社も、インターネットと電気をセットで販売し、安くするよ!と言うようなことも起こっています。
つまり、電力の小売全面自由化によって、電気の売られ方がとても自由になりました。自由化の前までは、大手電力会社が「電気だけ」を売る、というようなことしかやられていませんでした。しかし自由化によって、どの会社も、自分たちの会社の強みを電気と融合させ、「セットで買ってくれれば安くするよ!」と宣伝できるようになり、新しいサービスが生まれるようになりました。
また、私たちはそのおかげで、電気を今までよりお得な値段で使えるようになりました。これが、私たちにとっては重要な事実ですね。もともと、電力の小売全面自由化を政府が推し進めた背景も、「一般の人々にもっと電気が安く届くといい」という願いがあったためだったのです。
(5) 電気料金の話は、これだけでは終わらない!
ここまでのお話を読んで頂いて、「電力の小売全面自由化、無事に進んでよかったじゃん!めでたしめでたし。」と思う方、おられるかもしれませんが、実はそうではありません。。。
2021年の1月に、テレビのニュースなんかで、「電気の使用率が高くなっています!」「電気の効率的な使用をお願いします!」「電気代が跳ね上がったご家庭もいます!」という報道がなされた時期があったのですが、覚えている方はおられるでしょうか?
電力の小売全面自由化は進んだものの、電気と電気代に関する裏事情はその後どんどん変わっていっているのです。