◆応札量や市場分断が課題
電力需給調整力取引所(EPRX)は、26日に開かれた経済産業省の有識者会合で需給調整市場の取引状況を報告した。3次調整力(2)の取引が始まった4月1~16日向けの実績は、落札量が1日平均約370万キロワット、平均落札単価が1キロワット・30分当たり1円77銭だった。EPRXは同市場を通じた広域調達でコストが約18%低減されたと評価。一方で必要量に対する応札量の不足や一部連系線での市場分断が続くなど、課題となりうる状況も報告した。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/050.html
資料5 需給調整市場における三次調整力②の取引状況について(電力需給調整力取引所説明資料)
今年度から送配電網協議会により設立され取引・運用が始まった、「電力需給調整力取引所(EPRX)」(参照記事:2021年3月23日ニュース)。
運用開始から、この1か月(4月中)の取引の動向の詳細が、上記の委員会にて報告されました。今後、この市場を利用したビジネスをお考えの事業者の方々には、貴重な情報になるかと思います。
以下の資料は、上述の「資料5」より引用させて頂いている内容です。右肩の番号が4と書かれた資料を見ると、この市場取引における落札量は日平均約 3,700 MWということで、ざっくりいうと原発3~4基分相当の発電量になります。出来立てほやほやの市場で、既にこれだけ大きな電力の取引が行われていることには驚かされました。表の左端が「必要量」となっている行を横に見ていくと、どこの区域に需要があるかがわかりますが、東北・東京・中部・関西・九州で、調整力の需要があることがわかります。一方、表の左端が「最高落札単価」となっている行を横に見ていくと、需要規模が大きくなかった北海道や北陸・中国といった地域で高値を付けていたことがあったようです。このあたりの関連性を分析していくと、ビジネスチャンスにつながるのかもしれません。
また、右肩の番号が5と書かれた資料を見ると、「仮に、当該機関の調達量を従来と同様にエリア内に限定して調達した場合、調達費用が日平均で約3億9千万円と試算された。その結果と、広域調達での日平均(約3億2千万円)を比較すると、約18%の低減効果を上げている。」とあります。つまり、要約すると、この需給調整市場の運用が始まったことが、電力価格の低減に貢献できている、と言い換えられるものと思います。今後も、この市場が積極的に活用されていけば、私たち一般の電力消費者の電気料金も下がっていくかもしれません。今後は、発電時間が不規則な再生可能エネルギーの導入がどんどん進むので、その分調整力も必要になり、この需給調整市場での取引もさらに活発化していくことが予想されます。 まだ始まったばかりの需給調整市場ですが、今後数年間で、新しい取引メニュー(:高速応動)も追加されていくようでもありますので、引き続き取引動向は要チェックですね!
(上述の資料5より引用)
(上述の資料5より引用)
総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電力・ガス基本政策小委員会の制度検討作業部会
という会合ですね。2021/4/26に、第50回目の会合が行われました。
この会合の資料は、インターネットから誰でも閲覧可能です。
以下のURLにアクセスすれば、見に行くことができます。