第2-2話 昔の電気料金は、どうやって決まっていた?
第2-1話では、少し前までの電気料金の決め方(今はもう違うけど)をざっくり、次のように説明しました。
「少し前まで、電気料金は大手電力会社が値段を決めて、国(政府)が問題ないか確認した。」
この第2-2話では、なぜそのように電気料金が決まっていたか、なるべく要点を絞って説明したいと思います!
- 少し前の電気料金の決め方…「総括原価方式」
- 総括原価方式が認められていた理由
- 総括原価方式のよろしくないところは?
- 今はもう、「総括原価方式」は使われていないよ
- <補足> 電気を作って送り届けるのにかかるお金の詳細
講座2-2話 昔の電気料金は、どうやって決まっていた?
(1) 少し前の電気料金の決め方…「総括原価方式」
少し前の電気料金の決め方を、「総括原価方式」と呼びます。
総括原価方式では、
「電気料金」は、「①大手電力会社が電気を作って送り届けるのにかかるお金(運営費) + ②大手電力会社の稼ぎ(利益)」
となっていました。
注目すべきは、「大手電力会社の稼ぎ」が「電気を作って送り届けるのにかかるお金」から分けて計算していいことになっているので、絶対に儲かっていた。つまり、給料が最初から計算されていたので、安定した給料がもらえていて、会社も潰れるとかはなかった、ということになります。就活生にとって超人気企業になるわけです…!
(2) 総括原価方式が認められていた理由
(1)を読むと「大手電力会社の待遇良すぎ!ずるい!」と思うかもしれません。ただ、冒頭でも述べた通り、利益が過剰にならないよう、政府のチェックは入ります。また、総括原価方式をとることのメリットもあります。
<総括原価方式をとることのメリット>
- 電気を買う私たちが、過大な負担を負うことが無い
- 大手電力会社の運営が比較的安定したものになるので、将来の設備修復・増強の計画や、サービスの向上計画が立てやすくなる
- その結果、電気を安定的に供給できる(電力不足に陥ることが少なくなる)
上記のようなメリットから、総括原価方式は、電気だけでなくガス・水道・鉄道・といった、インフラ(社会に欠かせない基盤となる仕組み)系のサービスに適用されることが多いのです※。
※ ただ、電気以外のものについては、現在総括原価方式が適用されているのか?政府のチェックが入るのか?までは筆者知らず。。すみませんm(_ _)m
(3) 総括原価方式のよろしくないところは?
総括原価方式のよろしくないところ(デメリット)も紹介します。
<総括原価方式をとることのデメリット>
- 大手電力会社が絶対に儲かるようになっているので、経営を効率的にしようとか会社をさらに超良くしようとする動きが起こりにくい
- 先ほど紹介しているとり、大手電力会社による、将来の設備修復・増強の計画や、サービスの向上計画が立てやすくなるというメリットはある。しかしながら、その計画が実際に適切に実行されるかどうかはわからない
- 電気料金に政府のチェックが入るので、消費者のニーズに合わせた柔軟な料金メニューが登場しにくい
(4) 今はもう、「総括原価方式」は使われていないよ
ここまでで、「総括原価方式」のメリット・デメリットを紹介してきました。デメリットの中で、私たちに最も影響するところは、「消費者のニーズに合わせた柔軟な料金メニューが登場しにくい」のところですね。つまり、電気代の値下げにつながる新しいサービスが登場しにくいということです。
この問題の解決のために、第2-1話で紹介したような、電力の小売全面自由化などの電気料金制度の改革が進みました。では現在、電気料金はどのようにして決まるのか??といった話は、続きの講座で少しずつ紹介していきますね!
(5) <補足> 電気を作って送り届けるのにかかるお金の詳細
総括原価方式では、
「電気料金」は、「①大手電力会社が電気を作って送り届けるのにかかるお金(運営費) + ②大手電力会社の稼ぎ(利益)」
となっている、と上で説明しました。
このうち、①に含まれるものについて、もう少し詳しく説明したいと思います。具体的には、下記のようなものが含まれます。
- 電気を作る発電所を建てる費用、そこに人などを雇って運転する費用、そこのメンテナンス費用
- 電柱・電線などの、電気を送り届けるための設備を作って、運転する費用、そこのメンテナンス費用
- 化石燃料など、電気を作るときに必要な燃料を買うお金
参考資料
料金設定の仕組みとは?| 経済産業省 資源エネルギー庁 (meti.go.jp) ホームページ
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/