2021年5月18日ニュース記事 原発2基分の潜在性 「潮流発電」を再生エネの一翼に、長崎・五島で実証実験

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SankeiBiz(産経新聞)より抜粋
長崎県五島市・奈留島沖の海域「奈留瀬戸」。穏やかな海面とは裏腹に海中の潮流は速い。これを利用する「潮流発電」の実証実験が始まった。天候に左右される風力や太陽光と比べ、潮の干満によって生じる潮流は安定性が高く、発電量は満ち引きに連動する。日本が政策を総動員して目指す「脱炭素」に向けた貴重な再生可能エネルギーになり得るとの期待が高まっている。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210517/bsc2105170613004-n1.htm

 この記事では、あまり「再エネ」として知られていない再エネの1つ、

海洋エネルギー発電

について紹介したいと思います。

 再生可能エネルギーと聞くと、知っている方は、風力発電や太陽光発電、あるいは地熱発電などを思い起こされると思いますが、海が持っている力を使って発電することを海洋エネルギー発電といいます

 海が持っている力ってナニ?かと言うと、たとえば海の潮の流れ(つまり潮流)であったり、潮の満ち引きによる海面位置の変化であったり、波が立つ力などがあります。これらの力を使って、タービンやその他の種類の発電装置を動かすことで、電気を作り出すのです。なお、特殊なものには、海洋温度差発電というものもあります。海の深い場所の温度と、海面の温度は異なるので、この温度差を発電に利用するというものです。

 海洋エネルギー発電には、他の再エネと比較して、主に次のようなメリットがあります。

・ 海の力は定常的に存在するので、天候に左右されずに発電しやすい

・ 水中なので景観を害したりすることがない

・ 漁業への影響も少ない

 もちろん、装置を最終的には海中にすべて沈めてしまうので、メンテナンスしにくいなどのデメリットもありますが、メリットに着目すると、しっかり発電量を稼ぐことができれば、他の発電にとって代わる可能性を秘めた再エネであると言えます。

 特に日本は有難いことに、国の周囲すべてが海に囲まれている島国ですので、海洋エネルギー発電にピッタリの条件が揃った場所が幾つかあるのではないかと思います。現在、長崎県では、積極的に潮流発電の導入が試みられているようですね。また、この引用元ニュースでも紹介があったように、日本近海には潮流の速い海域が多くあり、その潜在性は約2ギガワット、原子力発電所2基分に相当するとの試算もあるそうです。

 ただ、この海洋エネルギー発電については、現時点で世界的に見ても、まだまだ商用化が活発というわけではありません。なぜなら、研究開発する要素がまだまだ多いためです。今後、研究開発が進み、日本にも商用機としてどんどん導入が進むといいなと思っています。

(今のところ、ヨーロッパでの開発が一歩進んでいて、日本もヨーロッパ製のタービンで実証試験などを行っているようです。) なお、海洋エネルギー発電については、講座「講座1-2 再生可能エネルギーってナニ?」 でも紹介しているので、詳しくはこちらを参照してみてくださいね!

参考

九電みらいエナジー ホームページ → 潮流発電の紹介

https://www.q-mirai.co.jp/renewables/service.html#omonajirei

九電みらいエナジー 「潮流発電技術実用化推進事業」

日本初の大型潮流発電の実証試験

https://www.q-mirai.co.jp/renewables/pdf/currentpower-01.pdf