2021年3月19日ニュース記事 東京・中部間のFC増強、31日に完了/東西値差縮小へ

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電気新聞より抜粋
東京・中部間のFC増強、31日に完了/東西値差縮小へ
◆容量90万キロワット増
 東京電力パワーグリッド(PG)と中部電力パワーグリッド(PG)の両エリアで建設を進めていた「飛騨信濃周波数変換設備(FC)」が、31日に運用を開始する。これにより、東京中部間連系線の運用容量は同日午後7時以降、現在の120万キロワットから210万キロワットへと拡大。東西エリア間で頻発しているスポット市場の分断解消や値差の縮小が期待される。

 今後の電力市場活性化に向けて期待が高まる、素晴らしいニュースです!日本の電気は、

このニュースにもある「飛騨信濃周波数変換設備(FC)」を境に、西側(西日本)では60 Hzの振動をする交流電流が、東側(東日本)では50 Hzの振動をする交流電流が流れています。

Hzというのは、「ヘルツ」と読む、「1秒間に何回振動するか」を表す単位で、1 Hzだと1秒間に1回、50 Hzだと1秒間に50回振動するという意味です

 つまり、西と東で、実は流れている電気が違うんです。流れている電気が違うと何が起こるかというと、「おすそ分け」が簡単にできなくなってしまいます。

例えば、東日本で、大地震や台風により様々な発電所が動かなくなってしまったとしましょう。そうすると、東日本で電力が足りなくなってしまうので、西日本から電力を「おすそ分け」して欲しいなぁということになります。 でも、西日本から東日本に電力を送るときは、60 Hzの電気を50 Hzになおしてから送らなりません。その「なおす」ためには装置が必要で、装置の限界もあって、たくさんの電力を西日本と東日本の間でやりとりできませんでした。

 このニュースは、なんと、その東西の電気の違いを「なおす」設備である「飛騨信濃周波数変換設備(FC)」がパワーアップしたっていうお話です!!これまでは120万キロワットで、それが210万キロワットになったようです!!すげぇっっ!!…ってどれくらいか、ピンとはきませんよね (笑) 

 例えば、原子力発電所1基はおよそ100万キロワットで、約30万世帯のおうちの電気を賄うことができます。なので、今回のパワーアップは、もともと120万キロワット、つまり原発1基分くらいは「おすそ分け」する力があったけど、210万キロワットにパワーアップしたから、おすそ分け能力が原発2基分(60万世帯のおうち分)くらいになったってことになります!それだけ、災害時に電気に困った人・おうちを助けることができるようになったんだということ、覚えておいてもらえればと思います!!

ぜっきー主任
 電力需給調整力取引所(EPRX)の設立に伴う需給調整市場の開設と、電力広域的運用推進機関(OCCTO)による容量市場の開設により、新たな、そして多様な電力価値の取引が日本で始まりつつあります。このような中で、今回の「飛騨信濃周波数変換設備(FC)」の増強によって、これまで東西でほぼ分断されていた電力のやりとりの融通幅が広がると、「西日本で買った電力(の価値)を東日本で使う」ということもできるようになるので、電力価値の取引市場が活性化します。つまり、価格競争原理が働いて、その分、皆さんの電気代が安くなるかもしれないということです。さらなるパワーアップ、今から期待してしまいますね!

 ちなみに、じゃあなんで最初から50 Hzと60 Hzで違ったの?って疑問に思う人もいるかもしれませんが、これは歴史の問題なので、気にしないで…笑 気が向いたら、講座で紹介します!笑

参考・引用

飛騨信濃周波数変換設備の運用開始について
https://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2021/1591426_8616.html
日立製周波数変換設備を用いた中部電力パワーグリッド飛騨変換所が完成
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/04/0401b.html
容量市場 かいせつすぺしゃるサイト
https://www.occto.or.jp/capacity-market/
容量市場の概要について(電力広域的運用推進機関(OCCTO)による)
https://www.occto.or.jp/market-board/market/files/youryou_gaiyousetumei.pdf