番外講座2 電圧ってナニ? その1

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電圧ってナニ? その1

 番外講座第1話では、「電気の正体は、電子の流れ」であることを説明しました。また、この電子「電子の流れは、電圧という引力によって起こる」ということも説明しました。

 そうすると、「じゃあ電圧という引力って一体何なのよ?」という疑問が次に起こると思います。この記事では、電圧について、なるべく分かりやすく説明していきたいと思います!

 少し、お話することが多いので、2つの記事に分けて書きたいと思います。まずは今回、1つ目の記事です!

目次
第2-2話 電圧ってナニ? その1

  1. 電圧を生じるさせる、主な2つの方法: ① 化学反応を利用する ② 磁力を使う
  2. ① 化学反応を利用して電圧を生じさせる、とは?
  3. 化学反応を利用して電圧を生じさせる、1つの例
  4. 乾電池の中では何が起こっている?
  5. ② 磁力を使う のお話は、次の第2-3話 「電圧ってナニ? その2」 で!

番外講座2話
電圧ってナニ? その1

(1) 電圧を生じるさせる、主な2つの方法: ① 化学反応を利用する ② 磁力を使う

 私たちの身の回りでは、主に次の2つの方法によって電圧を起こし、電気を得ています。

①つ目は、「化学反応を利用する方法」

②つ目は、「磁力を使う方法」

 化学反応というと、薬品液の中に物を入れると、溶けるとか色が変わるとか、今までとは別のものができるとか、そういうイメージがあると思いますが、ええ、まさしくそれでございます。

 磁力を使う方法は、ちょっとイメージが付きにくいですよね。「磁力」というのは、皆さんご存じでしょうか。これは磁石のN極とS極がくっつくとき、そして、N極同士・S極同士が反発するときに生じている力です。この磁力が、電圧の発生に実は深く関わっています。

①と②について、少し噛み砕いて解説していきます。

(2) ① 化学反応を利用して電圧を生じさせる、とは?

化学反応と一口に言っても、厳密には様々なタイプがありますが、

「化学反応中に電圧が生じて、電子が移動する(=電気が流れる)」タイプの反応もあります。

では、こういったタイプの化学反応の場合に電圧が生じる理由はなんでしょうか?

結局のところは番外講座1話でお伝えした原子のお話に関係があります。

番外講座1話の(7)では、次のようなお話をさせてもらいました。

  • 原子1つの中で、陽子は「プラスの電気」を持っていて、電子は「マイナスの電気」を持っている。
  • マイナスの電気はプラスの電気に引っ張られ、プラスの電気はマイナスの電気に引っ張られる。マイナスの電気同士は反発し、プラスの電気同士も反発するという、磁石のNとSの関係と同じような性質がある。

 このような性質があるために、マイナスの電気を持つ電子は、プラスの電気を持つ陽子がある原子核に少し引き付けられ、その周りをくるくる回っています。(←番外講座1話の(2)を読んで下さいね。)

 さらに話を付け加えると、原子核の中の陽子の数の違い(つまり、原子の種類の違い)によって、プラスの電気の力は変わります。そのため、化学反応を起こすために幾つかの材料を用いるときも、それぞれの材料の原子ごとに、電子を引き付けておく力が違います。この「電子を引き付ける力の、原子ごとの違い」が、「電圧」が生じる原因となるのです。

Point!
電圧が生じる化学反応の場合について。
化学反応で幾つかの材料を用いるとき、それぞれの材料の原子ごとに、電子を引き付けておく力が違う。「電子を引き付ける力の、原子ごとの違い」が、「電圧」が生じる原因となる。
ぜっきー主任
なお、単純に陽子の数が増えればプラスの電気が強くなって、電子も引き付けられやすくなるというわけではありません。幾つかの要因が複雑に絡みあって、引き付ける力が決まります。

(3) 化学反応を利用して電圧を生じさせる、1つの例

 じゃあ、私たちの身の回りで起こっている、電圧が生じる化学反応って何があるのでしょうか。

 答えは簡単、ズバリ「電池」です!例えば乾電池は、実はプラス極の出っ張った部分とマイナス極の平たい部分を金属線でつなげると、乾電池の中で化学反応が起こります。このとき、金属線に電圧が生じて、この線の中を電子が通る(つまり、電気が流れる)ようになります。

(4) 乾電池の中では何が起こっている?

 では、乾電池の中では、一体どんな化学反応が起こっているのでしょうか?

 化学反応の種類は電池によって違うのですが、一番簡単な例として、「ボルタ電池」というものをここでは紹介します。

 ボルタ電池は、かなり昔に考えられた電池です。ボルタ電池の構造はとてもシンプル。希硫酸(きりゅうさん)という薬品の中に、銅(どう)と亜鉛(あえん)という2種類の金属板を、半身浴状態で突っ込んだだけです。

 この状態で、銅と亜鉛の希硫酸に浸かっていない部分を金属線でつないでやると、化学反応が起こり、この線の中を電子が通る=電気が流れるようになります。

 このボルタ電池は、亜鉛と銅という2つの金属原子核の「電子を引き付ける力の違い」を、電圧としています。亜鉛の方が、銅に比べて電子を引き付ける力が弱いので、電子を手放して、銅に渡してしまうというようなことが、このボルタ電池の中で起こっているのです。

 ちなみに、この化学反応が起こると亜鉛は、電子を手放した後で希硫酸の中に溶けていきます。一方、銅の方では、渡された電子が希硫酸の溶液と反応し、水素というガスが発生するということが起こります。

以上のことを、1つの図にまとめてみました!

ボルタ電池の原理

 また、ちょうど分かりやすい解説の動画がありましたので、以下で紹介します。こちら、見てみてください! どうやら、希硫酸の代わりに、より入手がしやすい食塩水を使っているようですね! 

 いかがでしたか?この第2-1話では、化学反応で電圧が生じる場合に、「電子を引き付ける力の、原子ごとの違い」が電圧の原因となっている、というお話をさせて頂きました。もっと化学的なお話は高校化学や大学の化学で学ぶのですが、電圧が生じる理由を知るためには、この話でまずはイメージをつかんでもらえればと思います!

また、実は、ボルタ電池と同じ実験を、レモンを使って行うことができます!ご参考までに、それを見せてくれる動画を以下に紹介しますね!

最近は、便利な実験キットが販売されているようで、実験準備が楽チンでいいですよね~!

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(5) ② 磁力を使う のお話は、次の番外講座3話 「電圧ってナニ? その2」 で!

 この記事でこれ以上色々書いてしまうと、皆さん疲れてしまうと思うので、② 磁力を使う のお話は、また次の第2-3話で紹介します!